ポン酢形式

主に解析数論周辺/言語などを書くブログです。PCからの閲覧を推奨します。

Il faut cultiver notre jardin

Literature takes a great deal of living with and living by. George Steiner, Language and Silence I'm glad you read the Candide of Voltaire. I think of the book more as an allegory (like the one of the Cave by Plato) than as a novel, becaus…

We are what we remember

Elie Wiesel, La Nuit, Préface à la nouvelle édition (2007) L’oubli signifierait danger et insulte. Oublier les morts serait les tuer une deuxième fois. Et si, les tueurs et leurs complices exceptés, nul n’est responsable de leur première m…

ツィメルマン ピアノリサイタル 2023 (Chopin, Debussy, Szymanowski)

横浜みなとみらいホール | 02.12.2023 このまえ横浜まで行った一週間後の夜、一人でお皿洗い --- そう、これも手の役割 --- をしていると、ふと涙があふれてきました。Zimerman による Szymanowski の演奏を聴くことができて、今年中続けてきた練習の成果が…

洋書まつり (2023)

2023-10-20 ignoranti quem portum petat nullus suus ventus est Seneca, Epistulae Morales ad Lucilium, LXXI. Nul vent fait pour celuy qui n’a point de port destiné. Montaigne, Essais, livre II, chap. 1 He insisted on absolute clarity about t…

スワヒリのことわざ

2023-02-28: 友愛書房 (神保町) 天体好きのかれが、JAXA の一般公開日にさそってくれたときのこと。 4年前のその日、公開されていたキャンパスが2つあるうち、一方から他方へはシャトルバスがあった。それが混んでいるのをみると、自分たちは歩いて行くこと…

花と時刻表の追憶

午後に弾くピアノから食事までの猶予感覚による索引 僕が泣いたのは3月30日だった。 その2日前には中学校からの親友とじつに3年を越して顔をあわせており、数年を経てもお互いの個性 そして友情 とは、深いところではずっと不変のものとしてありつづけること…

Indifference についての覚え書き (Elie Wiesel)

Elie Wiesel, 1986: The opposite of love is not hate; it's indifference. The opposite of art is not ugliness; it's indifference. The opposite of faith is not heresy; it's indifference. And the opposite of life is not death; it's indifferenc…

親密な手紙

子供の時、本を読んでいてある言葉を(ある文章を、そして時には本の全体を)、これは自分にあてて書かれている、と思い込むことがありました。十四歳の時、もっと小さい時からそう思っていた岩波文庫『ハックルベリイ フィンの冒険』からの数行を作文に書き…

うさぎ年の干支けん玉 (2023)

「2022年はこれから自分が一生のあいだに何度も立ち返るであろう、直立して生きるための倫理 (モラール) を、暴力に逆らう言葉によって表現することを選んだ人たちとの出会いに恵まれた年になったと思う、だから今年はかれらとの面識を新しい人の方へと深め…

R. S. Thomas: A Marriage (私訳)

鳥の音符 が降りそそぐなか 私たちは出逢った。 五十年が経つ: 時の刻みに 従う愛の 半生とは短い。 かれは若かった: とじてキスをした瞳 が刻まれたしわ にめざめるまで。 '来い,' と死は言った、 かれを最後 の踊り相手 (ダンス・パートナー) に選んで。 …

今日で終わりということ / 不思議な気がするね (大江健三郎)

© Jiro at 2C Concept 光のような人、いや 光そのもの というべき人たちがいる: 自分が深く沈みこみ、暗い態度を抱えているなか、それでもなお 賞賛すべき、ただしいものすべて について肯定的でいつづけた、光のような人が: -- 暗きより暗き道にぞ入りぬべ…

横須賀: チョソンジン ピアノリサイタル (2022)

横須賀芸術劇場 | 27.08.2022 今回の演奏では特に 「音符の無い部分の音楽」が凄かった、とどなたかがツイートしているのをみて、-- ああ、すごくわかる: Seong-Jin Cho 独特の音の伸ばし方、dynamics/articulation の区別はもちろん、ペダルの足音 (Scherzo…

Seong-Jin Cho: Händel, Brahms, Schumann & Chopin

もはや 形容-encryption なんて必要ない: Seong-Jin Cho: a piano recital in Tokyo (25.08.2022) 2階の左右側の席だったけど、反対側に向かって座っていた列の人たちが演奏後に感動で泣き崩れたお互いの顔をみられない程度には十分に遠かった -- それに、マ…

暮らし: 100円ショップに行ったよ

今日は日本の「100円ショップ」というものに初めて連れていってもらう機会があり、さてあまりにもたのしすぎたので日記をつけようという気でいます: Seria 並んでいる商品の みかけ からはその値段があまりに信じられないものなので、自分の手で確かめるため…

京都: 暮らし・文法・記号

末廣大神: 狛蛙 実家暮らしとは非文法的です。入室にあたり扉はノックされません。 友達との二人暮らしにおける文法は, しかし, より保守的 (conservative) です。 — でも星先生は「日常のやりとりでは文法的であることのほうが少ない」ってつぶやかれてたじ…

あら、ご機嫌よう。

あなた、蝶はお好き ? 今日はもう春の日和、ここ数日はなんと毎日のお花摘みで忙しいこと。— もし綺麗なのを一匹でも捕まえたければ、網なんか持って追いかけていてはだめよ。まずは庭のお手入れから始めなければいけませんからね。 ほら、Voltaire も言った…

卯の月: 誕生を歓迎し、祝福すること

youtu.be 「痩せるためにはまず太ってないといけない」とはよく中学時代の友人と、(同級の [predominantly] 女子-中学生を指し) たびたび繰り返した truism*1 ですが、こうした論理的にはごくあたりまえのようにみえる主張でも、驚くべき非自明な結果を導く…

神保町: ノマド的な

昨日はフォロワーさんと一緒に神保町巡りしました。そして、色々と刺激的な議論を交わすこともできたので良かったです。 pic.twitter.com/WpKCRVErT9— W. Kim (@wj_philsci_tok) February 4, 2022 北沢書店 & 澤口書店 w/ @wj_philsci_tok & 崇文荘書店 & 古…

鼎談: 横断科目「歴史に学ぶ数学」

横断科目「歴史に学ぶ数学」をYouTube動画で紹介−理学院とリベラルアーツ研究教育院が協働https://t.co/533aKx2wYL— Fumiharu Kato 加藤文元(Bungen) (@FumiharuKato) December 22, 2021 6:54 -- 「歴史に学ぶ数学」(≠ ``数学史") という題目の背景: 私が…

ピクニック: 新宿御苑

今日の ピクニックの核心 は、ある挑戦に立ち向かうとき、それを認め、受け入れるということ [acceptance] *1 にあったと思う: 数学の表記体系 [signifiant] は恣意的 [arbitraire] らしい -- じゃあ、どうする? Parole ('言語活動') なしに経験だけで生きて…

神保町: 洋書まつり (2021)

神保町で毎秋行われる 洋書まつり というイベントにいってきました。 blog.livedoor.jp 毎年おなじみのポスター (らしい) (昭和から続いてそう) 会場の雰囲気はこんな感じ: 洋書まつりの季節がやってきました10月29日(金)10時〜18時10月30日(土)10時〜17…

a peripatetic aide-mémoire (10)

Introduction: 矛盾への偏愛. しかし、ここ数週間は 3B1B (Grant Sanderson) の映像作品 に浸かりまくる一方: www.youtube.com そういうことで、今回は intuition (直観) と symbolism (記号) の話でもすこし -- 題して: 「見える記号・見えない意味」 Signi…

RIMS: 数学入門公開講座 (2021) -- 4日目 (終)

この記事は数理解析研究所で8/2から4日間のあいだ開催されている第42回数学入門公開講座の4日目 (最終日) のノートです。 3日目の記事はこちら: zeta-aniki.hatenablog.com 計算量理論入門 前回の講義では、「多項式時間/空間」という測量を導入し、時間 (= …

RIMS: 数学入門公開講座 (2021) -- 3日目

この記事は数理解析研究所で8/2から4日間のあいだ開催されている第42回数学入門公開講座の3日目のノートです。 2日目の記事はこちら: zeta-aniki.hatenablog.com 計算量理論入門 前回までの復習から始めると、まず読み込みに加え 書き込む機能が加わった 有…

RIMS: 数学入門公開講座 (2021) -- 2日目

この記事は数理解析研究所で8/2から4日間のあいだ開催されている第42回数学入門公開講座の2日目のノートです。 1日目の記事はこちら: zeta-aniki.hatenablog.com 計算量理論入門 一時間目は、前日夜中までいろいろ読み漁ってて疲れてたのでほぼ横になりなが…

RIMS: 数学入門公開講座 (2021) -- 1日目

京都大学数理解析研究所 (Research Institute for Mathematical Sciences - 通称 RIMS) で行われる「数学入門公開講座」は今年42回目を迎え、数学最先端の研究を著名な数学者の方々がわかりやすく レクチャー してくださる講義として毎年人気を博しています…

a peripatetic aide-mémoire (9)

初めての選挙 -- Or, democracy について まずは Chomsky: The smart way to keep people passive and obedient is to strictly limit the spectrum of acceptable opinion, but allow very lively debate within that spectrum - even encourage the more c…

a peripatetic aide-mémoire (8)

Introduction: ゆるゆる美学者 on 高木貞治. Ethics of Alcohol 日本における任意のコミュニティ (例: テトリス、数学、哲学) に属しているといずれ知り合う大人との付き合いというのは、やはり居酒屋での親交なしにうまくやるのは無理そうです。そこで、未…

a peripatetic aide-mémoire (7)

貸しました: www.chikumashobo.co.jp ちょうど Hardy の A Mathematician's Apology を読み終えたところなので、「数学の実用性」という観点で ページる (= '漫読') とおもしろいと思います、ということをお伝えしました。 en.wikipedia.org Hardy の thesis…

a peripatetic aide-mémoire (6)

Epicurus: Ataraxia 貸した: The Consolations of Philosophy www.dubraybooks.ie この本でたときに interview やってる: www.youtube.com Epicurus on Ataraxia. -- 「苦の余事象」、かっこいい置き方ですね というわけで ataraxia を数学の文脈でも考えた…