ポン酢形式

中学生のぽんずが主に解析数論周辺/言語などを書くブログです。PCからの閲覧を推奨します。

ゼータ関数の美しい物語

ポン酢お兄ちゃんです。
この記事は 数学カフェアドベントカレンダー2017 の10番目の記事です。

adventar.org

9番目の記事は simizut22 さんの ``tropical curve の moduli の話" でした。

また、ブログ「ポン酢形式」の初記事でもあります!!(cf. ブログ開設日は今年の4月頃:

)

 

今回は、2018年1月5-7日の3日間で行われる、数学カフェのゼータ関数会(講演者: ゼータ兄貴/たけのこ赤軍)の概要を
書きます。

この記事の構成はこんな感じ: 

  • 1日目: (「形式的な」予習会) (講演者: ゼータ兄貴/たけのこ赤軍)
  • 2日目: (佐藤-Tate予想) (講演者: ゼータ兄貴)
  • 3日目: (多重三角関数) (講演者: たけのこ赤軍)

1日目: (「形式的な」予習会) (講演者: ゼータ兄貴/たけのこ赤軍)

代数学、特に数論と呼ばれる分野においては、ゼータ関数 という対象が、18世紀のEulerによる研究をはじめとして、
長い間に渡り、現在も最先端の数学で研究されています。その Euler による発見は次のようなものです:

 \displaystyle \sum_{k = 1}^{\infty} \frac{1}{k^{2}} = \frac{\pi^{2}}{6}.

この問題は当時の超難問で、Jacob Bernoulli など多くの数学者を撥ね付けた問題でした。その後、Euler はこの問題を
一般化して、次のような関数を定めました*1:

Definition.          (The Riemann Zeta Function)
複素数  s に対して級数
  \displaystyle \zeta (s) \hspace{0.25cm} \overset{\mathrm{def}}{=} \hspace{0.25cm} \sum_{k = 1}^{\infty} \frac{1}{k^{s}}

 \mathrm{Re} (s) \gt 1 で絶対収束し、正則関数を定める。この関数を、Riemann ゼータ関数 と呼ぶ。

一般に、ゼータ関数の極/零点の情報を取り出すことによって、そのゼータ関数にとって「素数的なもの」に関する結果を得ることができるのですが、Riemann ゼータ関数の場合は「素数的なもの」は「素数」です。たとえば Bernhard Riemann (1859) によって次の定理が証明されています:

Theorem.          (Riemann's Prime Number Formula)
 \displaystyle \pi (x) \hspace{0.25cm} = \hspace{0.25cm} \sum_{m \leq \log_{2} x} \frac{\mu (m)}{m} \left(\mathrm{li} (x^{\frac{1}{m}}) - \sum_{\rho} \mathrm{li} (x^{\frac{\rho}{m}}) - \log 2 + \int_{x^{\frac{1}{m}}}^{\infty} \frac{1}{t(t^{2} - 1) \log t} dt\right ).

今回は特に、Riemann の 画期的な研究を通して、1896年に Hadamard/de la Valée Poussin によって証明された素数定理

 \displaystyle \pi (x) \hspace{0.25cm} \sim \hspace{0.25cm} \frac{x}{\log x} ~~~ (x \to \infty)

を、1日目の主定理として証明します(!)。素数定理の Riemann ゼータ関数を用いた証明の鍵は、2日目の最初にも少し触れて
いますが、

 \displaystyle \zeta (s) \displaystyle \mathrm{Re} (s) \geq 1 に零点を持たない

という事実を示すことでした。

また、2日目以降で用いる重要な概念としてひとつあるのが、保型形式と呼ばれるものです。保型形式の定義を念のため
書いておくことにすると*2

Definition.          (The Autoomrphic Forms)
上半平面 
 \mathfrak{H} 上の Modular 群  \Gamma に関する 保型形式 とは、関数  f: \mathfrak{H} \rightarrow \mathbb{C} であって、次の3つの条件を満たすもの:
      (i) (保型性)   ある整数  w \geq 0 に対して、 f \cdot [\gamma ]_{w} = f ~~~ (\forall \gamma \in \Gamma)。    
     (ii) (正則性)    f \mathfrak{H} 上で正則。
    (iii) (増大条件)    f は任意の尖点で正則。

といった感じです。保型形式は、1日目で予習する楕円曲線と深い関係があったりします。
さて、保型形式の具体例として 実解析的 Eisenstein 級数 を挙げます (cf

o-v-e-r-h-e-a-t.hatenablog.com

) 。実は、この記事でも述べられていることですが、この関数は 素数定理の別証明を与えることができる のです(素数定理を「予習会」で証明するときくと凄そうですが、「Riemann ゼータ関数の応用例」「保型形式の紹介」「佐藤-Tate予想への動機付け」という重要な項目を完璧に満たしていることに二人で気がつくと証明せずにはいられなくなりました) !


1日目の予習会では、「素数定理の Riemann ゼータ関数を使った (Hadamard/de la Valée Poussin型の議論の) / 実解析的 Eisenstein 級数を使った (一般線形群  GL (n) の保型形式的な) 証明」を目標とします。

 

2日目: (佐藤-Tate予想) (講演者: ゼータ兄貴)

  •  \displaystyle \zeta (s) = \sum_{k = 1}^{\infty} \frac{1}{k^{s}} --- ただし  \displaystyle \mathrm{Re} (s) \gt 1 --- は  \displaystyle \mathrm{Re} (s) \geq 1 に有利型関数として解析接続され、 \displaystyle s = 1
    1位の極を持ち、 \displaystyle \mathrm{Re} \geq 1, ~ s \neq 1 では極も零点も持たない
     \displaystyle \Longrightarrow 素数定理 (1896, Hadamard/de la Valée Poussin):  \displaystyle \pi (x) \sim \frac{x}{\log x} ~~~ (x \to \infty)

  •  \displaystyle L (s, \chi) = \sum_{k = 1}^{\infty} \frac{\chi (k)}{k^{s}} --- ただし  \mathrm{Re} (s) \gt 1, ~ \chi は非自明な Dirichlet 指標 --- は  \mathrm{Re} (s) \geq 1
    正則関数として解析接続され、 \mathrm{Re} (s) \geq 1 では零点を持たない
     \displaystyle \Longrightarrow Dirichlet の算術級数定理 (1896, de la Valée Poussin):  \displaystyle \pi_{N, ~ a}^{\mathrm{mod}} (x) \sim \frac{1}{\varphi (N)} \frac{x}{\log x} ~~~ (x \to \infty)

というように、古くから ゼータ関数  L 関数 の解析的性質は研究されていて、特に零点や極の位置から素数に関する情報を
引き出せることが知られていました。2006年の Taylor 達による 佐藤-Tate予想 の (大部分の!) 証明も、このアイデアに基づいています。


佐藤-Tate予想の定式化.

 F を代数体とし、 a, b \in F 4a^{3} + 27b^{2} \neq 0 を満たす  F の元の組とします。 F 上の楕円曲線

 \displaystyle E: \hspace{0.25cm} y^{2} \hspace{0.25cm} = \hspace{0.25cm} x^{3} + ax + b

を考えます。ここで、 E j-不変量 

 \displaystyle j^{\mathrm{~inv}} (E) \hspace{0.25cm} \overset{\mathrm{def}}{=} \hspace{0.25cm} \frac{1728 \times 4a^{3}}{4a^{3} + 27a^{2}}

で定義されます。 v F の有限素点とし、 k_{v} v における剰余体とします。 k_{v} の位数を  q_{v} とおいたとき、有限個の  v
除いて、 E の定義方程式の  \mathrm{mod} ~ v 還元は  k_{v} 上の楕円曲線  E_{v} を定めます。このとき、 E v において 良い還元 を持つと
いい (このときの  v の集合を  \mathbb{V}^{\mathrm{~good}} と書く) 、そうでないとき  E v において 悪い還元 を持つ (このときの  v の集合を
 \mathbb{V}^{\mathrm{~bad}} と書く) といいます。 E_{v} k_{v}-有理点 の集合  E_{v} (k_{v}) の位数を  \# E_{v} (k_{v}) とおくと、Hasse の定理より

 \displaystyle |1 + q_{v} - \# E_{v} (k_{v})| \hspace{0.25cm} \leq \hspace{0.25cm} 2 \sqrt{q_{v}}

が成り立ちます (キモチ:  \# E_{v} (k_{v}) q_{v} + 1 とほぼ等しく、誤差は高々 2 \sqrt{q_{v}}) 。では、 v を動かしたときに誤差項は
どのように振舞うのでしょうか? そのために、 \theta_{v} \in \mathbb{R} を用いて

 \displaystyle 1 + q_{v} - \# E_{v} (k_{v}) \hspace{0.25cm} = \hspace{0.25cm} 2 \sqrt{q_{v}} \cos \theta_{v}

--- ただし  0 \leq \theta_{v} \leq \pi --- とおきます。少し雑にいうと、佐藤-Tate予想とは、誤差項を表す角度  \{ \theta_{v} \}

 \displaystyle \frac{2}{\pi} \sin^{2} \theta

のグラフの形に分布する、という予想です。より正確な定式化は次の通り:

Conjecture.          (Sato-Tate conjecture)
 E を代数体  F 上の 虚数乗法を持たない 楕円曲線とする。実数  \alpha, \beta ~ (0 \leq \alpha \lt \beta \leq \pi) に対して、
 \displaystyle \lim_{N \to \infty} \frac{\# \{ N \leq v \in \mathbb{V}^{\mathrm{~good}} ~|~ \alpha \leq \theta_{v} \leq \beta \} }{\pi (N)} \hspace{0.25cm} = \hspace{0.25cm} \int_{\beta}^{\alpha} \frac{2}{\pi} \sin^{2} \theta d\theta
が成立する。

 E虚数乗法を持たない とは、 E \overline{F} 上の自己準同型環が  \mathbb{Z} と同型であることをいい、そうでないとき  E虚数乗法を
持つ
といいます。虚数乗法を持つ楕円曲線に対してはHecke 指標の理論によって  \{ \theta_{v} \} の分布を用意に決定することができます (佐藤-Tate予想のような分布にはなりません。たとえば  y^{2} = x^{3} + 1 y^{2} = x^{3} - x の場合にはすべての有限素点のおよそ
半分の  v について、ぴったり  \theta_{v} = \frac{\pi}{2} となってしまいます) 。従って、佐藤-Tate予想において  E虚数乗法を持たない という仮定は本質的であるといえます。

Taylor 達が証明した定理は次の定理です:

Theorem.          (L. Clozel, M. Harris, N. Shepherd-Barron, R. Taylor)
 E を代数体  F 上の虚数乗法を持たない楕円曲線とする。このとき、 j^{~\mathrm{inv}} (E) が代数的整数でないならば、 E に対する佐藤-Tate予想は正しい。

代数体  F総実であるとは、任意の体の埋め込み  F \hookrightarrow \mathbb{C} に対し、その像が  \mathbb{R} に含まれることをいいます (e.g.,  \mathbb{Q}, ~ \mathbb{Q} (\sqrt{2}),  \mathbb{Q} (\zeta_{n} + \zeta_{n}^{-1}) は総実代数体) 。 j^{~\mathbb{inv}} の仮定については少し技術的で、 F を有限次拡大体に取り換えると、ある有限素点に
おいて楕円曲線  E が乗法的還元を持つことと同値です。これらの仮定は、志村多様体を用いて  GL_{n} の保型表現に伴う 
Galois 表現を構成するために必要なものです*3

 

証明の方針.

Taylor 達による佐藤-Tate予想の証明は、素数定理 / Dirichlet 算術級数定理の証明と同じアイディアに基づくものです。
代数体  F 上の楕円曲線  E から、 n 次の Euler 積を持つ 対称積  L 関数 

 \displaystyle L (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) \hspace{0.25cm} \overset{\mathrm{def}}{=} \hspace{0.25cm} \prod_{v \in \mathbb{V}^{~\mathrm{good}} } L_{v} (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1})

によって --- ただし  n \geq 1 --- 定義します。ここで  E が良い還元を持つ有限素点  v \in \mathbb{V}^{\mathrm{~good}} に対しては  L 関数の局所因子  L_{v} (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) \theta_{v} を用いて 

 \displaystyle L_{v} (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) \hspace{0.25cm} \overset{\mathrm{def}}{=} \hspace{0.25cm} \prod_{k = 0}^{n - 1} \frac{1}{1 - \alpha_{v}^{k} \cdot \overline{\alpha}_{v}^{n - 1 - k} \cdot q_{v}^{-s}}

--- ただし  a_{v} \overset{\mathrm{def}}{=} \sqrt{q_{v}} (\cos \theta_{v} + i \sin \theta_{v}) --- で表されます。この  L 関数は  \mathrm{Re} (s) \gt (n + 1) / 2 で絶対収束します。 n = 1
場合、i.e.,  L (s, E, \mathrm{Sym}^{0}) F の Dedekind ゼータ関数であり、 \mathrm{Re} (s) \geq 1 における解析的性質はよく分かっています。 n \geq 2 の場合には次の予想があります:

Conjecture ^{\diamondsuit}.
 E を代数体  F 上の虚数乗法を持たない楕円曲線とする。 n \geq 2 に対して、対称積  L 関数  L (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) \mathrm{Re} (s) \geq (n + 1) / 2 に正則関数として解析接続され、 \mathrm{Re} (s) \geq (n + 1) / 2 では零点を持たない。

実はこの予想に対しては次の定理が証明されていました:

Theorem.          (J. Tate, J. - P. Serre)
楕円曲線  E に対する予想 Conjecture ^{\diamondsuit} n \geq 2 で正しければ、 E に対する佐藤-Tate予想も正しい。

つまり、素数定理/Dirichlet 算術級数定理と同様に、ゼータ関数やその親戚の  L 関数について、

絶対収束域ギリギリの線上での非零性から、数論的な帰結を得る

という手法によって佐藤-Tate予想は導かれるわけです。

Conjecture ^{\diamondsuit} の証明の方針としては、 \mathrm{Re} (s) = (n + 1) / 2 L (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) の Euler 積の収束領域外であったり、各項を
定める  \alpha_{v} v ごとに定まっていたりと、その解析的性質を直接調べることが難しいため、 L (s, E, \mathrm{Sym}^{n - 1}) をもともと
解析的性質がよく分かっている  L 関数と結びつけて調べる 
というものがあります*4。その鍵となるのは、非可換類体論による枠組みです*5


このように佐藤-Tate予想の大部分は、現代の解析/代数的整数論、数論幾何学の技術が駆使されて解決されました。
2日目では、主に非可換類体論の発展についてお話しようと思っています。現代数学におけるゼータ関数論/保型形式論に
興味ある方、是非聴いていただけると嬉しいです。

 

3日目: (多重三角関数) (講演者: たけのこ赤軍)

 \displaystyle \hspace{-1.617cm} \zeta (s) = \sum_{n=1}^{\infty} n^{-s}
 \displaystyle \hspace{0.27cm} \zeta (2k) = \frac{(-1)^{k+1} (2\pi)^{2k} B_{2k}}{2(2k)!}
 \displaystyle \hspace{0cm} \zeta_4^M (s) := \sum_{m=1, n=0}^{\infty} (m+ni)^{-s}
 \displaystyle \zeta_4^M (4k) = \frac{(-1)^{k+1} (2\pi_{4})^{4k} f_{4k}}{4(4k)!}

Riemannゼータ関数  \begin{eqnarray} \displaystyle \zeta(s) := \sum_{n=1}^{\infty} n^{-s} \end{eqnarray} は和の範囲が自然数, ではこれをGauss整数 m+ni にしてみると?

その答えを与えるのが上の式です. これをよくみると, 左には  2 が, 右には  4 が多く現れているのがわかります. 私の言葉だと
これらをそれぞれ  2 次元,  4 次元にいる関数であると表現します.

これは  \mathbb{Z} \mathbb{Q} (\zeta_2) の整数環であるのに対して  \mathbb{Z}[i]\mathbb{Q}(\zeta_4) の整数環であることに対応しています ( \zeta_n 1 n 乗根).

さらに,

 \begin{eqnarray} \displaystyle \pi = 2 \int_0^1 \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} \\ \pi_4 = 2\int_0^1 \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \end{eqnarray}

であることも  2 4 の対応になっていて,  B_{2k} f_{4k} の定義もみごとに  2 4 が対比させられる形になっています (定義は
ここでは省略, 両方とも有理数列). もっというと

 \begin{eqnarray} \displaystyle \frac{d}{dx} \log \sin (x) = 1 - \sum_{k=1}^{\infty} 2 \zeta (2k) x^{2k} \end{eqnarray}

から, これを  4 次元で作り直した式

 \begin{eqnarray} \displaystyle \frac{d}{dx} \log S_{4} (x) = 1 - \sum_{k=1}^{\infty} 4 \zeta_{4}^{M} (2k) x^{2k} \end{eqnarray}

を作ることができ, ここにでてくる  S_4(x) という関数はどうやら  \sin (x) 4 次元での姿なのではないかと推測できます.

さらにさらに,

 \begin{eqnarray} \displaystyle \frac{\pi}{-s \Gamma(s) \Gamma(-s)} = \sin{\pi s} \end{eqnarray}

からも

 \begin{eqnarray} \displaystyle \frac{\pi_4}{-s^3G_4 (s) G_4 (-s) G_4 (is) G_4 (-is)} = S_4 (\pi_{4} s) \end{eqnarray}

というふうな  4 次元版を考えることができ, もちろん  G_4 (s) はガンマ関数  \Gamma (s) 4 次元版であると考えられます.

こういう感じで,   2 次元での関数や公式をすべて  4 次元で作り直してみよう, というのが私の理論のもっとも具体的な部分です. しかし, こういった " 4 次元での再構成" を試していくうちに, "分裂"といえるような減少が起こっていることに気が付きます.

たとえば  2 次元での関数  f(x) があったとして, これが性質Aと性質Bを共に満たしているとしましょう. しかしこれを  4 次元に持ち上げてできた  g_1(x) は性質Aを問題なく満たしてくれるのですが, 性質Bは満たしてくれないのです.

そこで, 別の持ち上げ方を使ってできた  g_2 (x) を考え (持ち上げ方が違うだけで, これももちろん  f (x) 4 次元版です) て
みると, こいつは逆に性質Aを満たさないのに性質Bを満たしている, というようなことが起きるわけです.

つまり, f(x) という対象を持ち上げたときに性質A,Bがそれぞれ  g_{1}, {g_2} の方へと"分裂"してしまっているわけですね. 遺伝の逆をイメージしていただくとわかりやすいです (1人の子供が持つ形質が2人の親に引き継がれている, ということ).

このような現象はしばしば発生するのですが,  2 次元から  4 次元へ持ち上げる際の分裂は本質的に一つしかないことが推測
できるのです. これはゼータ関数三角関数、ガンマ関数、モジュラー形式などがそれぞれの次元で密接に複雑に絡み合って
いるからで, どれか一つの分裂の様子がわかると他の関数たちも同じように分裂していく, ということです.

具体例を挙げてみると(といっても本質的に一つなので全部挙げていることになるんですが),  \sin S_4 \mathrm{sn} の二つに分裂
します, 分裂しているということはさっき言った通り性質を分け合っているということですから,  S_{4} \mathrm{sn} \sin の性質を
分け合っていることになります.

具体的に言ってみると,  S_{4} に継承されるのは無限積展開, reflection formula, 正則性で,  \mathrm{sn} ヘ継承されるのはEulerの公式, 逆関数積分表示, Taylor展開です. この分裂現象は必ずしも完全に二つに別れるわけではなく, 同じ性質を  4 次元で共有していることもあります. このケースだと, 円周率は  S_{4} \mathrm{sn} とで共通です.


このような関数の分裂や, 分裂先での性質の変化などを調べるのが私の理論です. しかも, ゼータ関数においては通常の分裂だけでなく"同速度で"分裂するような現象が確認されていて, これを詳しく見ていくとなんと数の集合の代数的構造複素関数
視点から眺めることが可能になります. 自分で作っておいてなんですが非常に美しい理論なので, ぜひお聴きいただけると
幸いです.

*1:実際は実数の範囲でのみ考察していたようです。

*2:これは Modular 形式 と呼ばれる特別な場合の保型形式です。

*3: \mathrm{Gal} (\overline{F} / F) n 次元既約  \ell 進 Galois 表現  R GL_{n} (\mathbb{A}_{F})代数的な尖点的保型表現  \Pi の間には  \Pi \rightarrow R の構成に難しさがあって、
この部分の技術的な障害が取り除かれていません。その詳細を書くにはこの余白は狭すぎる気がしますので、この記事では一旦置いておく
ことにします。

*4:ここで候補となるのが 保型表現の  L 関数 ですが、表現論の話を詳しく書こうとするとどうしても長くなってしまうので、ここでは
割愛します。

*5:他にも 谷山志村予想  Langlands 予想 などが、非可換類体論を通して考えると見通しがとてもよくなります。