ポン酢形式

主に解析数論周辺/言語などを書くブログです。PCからの閲覧を推奨します。

神保町: 洋書まつり (2021)

神保町で毎秋行われる 洋書まつり というイベントにいってきました。

blog.livedoor.jp

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毎年おなじみのポスター (らしい) (昭和から続いてそう)

会場の雰囲気はこんな感じ:

1日目

ちょうど学校が mid-term のお休みだったので、1日目の金曜日も朝から参加することができました。

毎年、じつは丸善の本を楽しみにしていて、なぜかといえば「Penguin Books をはじめとした 英語圏の新書 のうち、すでに読まれていて安く売られているもの」は神保町でも見つからないからです。去年は、たとえば Steven Pinker の Enlightenment Now とか Sense of Style があって、当然買ったわけですけど、今年は既読の新書が去年に比べると少なかった気がしました。

-- そういうわけで、1日目の最初に選んだのはこれ:

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Jonathan Culler の Structuralist Poetics, このまえ豊洲 TeamLab の帰りに買って読んでひたすらすごかった: 特に、Roland BarthesEssais Critiques からの抜粋:

I have been engaged in a series of structural analysis which aims at defining a number of 'non-linguistic languages'

-- Rolan Barthes, Essai Critiques, p.155

そういうわけで、

「言語 (le langage) とは構造そのもの」という壮大な仮説

を探求する試みをだいたい構造主義とよぶのがいいでしょう (as a first approximation, ラカンの指す 無意識 とか例にとっても確かに一貫した考え方であるようには見えます: [しかし、問題はここでブルバキがどう関わってくるかということです])。

さて、今年は去年まで本の整理のために設置されていた 机と椅子 が無い代わりに「木の板」が床に置いてあって *1、そこで最終的な本の選択・値段の計算等を済ませます。

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1日目, 取捨選択'd

  • Merlau-Ponty の Le visible et l'invisible が 300円, バグってませんか (水中書店)

fr.wikipedia.org

2日目

2日目は、Twitter で知り合ったある北欧好きの方と一緒の訪問でした。

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2日目: このうち2冊は drop

  • Russell の autobiography! -- 去年の今頃はこれが欲しくてたまらなかった (なお、200円) (古書ワルツ)

さて、交差点向かいの 南洋堂 に寄って北欧建築を立ち読み、大通りの書店街をふらついたあと Milonga Nueva という喫茶店で北欧への憧れを話し合いました。

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カフェオレ & サーミ語の基礎.

店内で流れていたタンゴの雰囲気しか思い出せませんが、たとえば

に通じる「内側からの感覚」みたいなテーマに最近興味がある*2というようなことを bounce off-る等。


今日いちばん嬉しかったのは、なにより、これ!

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サーミ調のイラスト!

少数民族の文化に美をおぼえる繊細さ (sensibilité)!-- 北欧が好きになることの よろこび [delight] というのは、こういった、深い人間味に触れることにある*3と思った午後.

-- Good-bye.

*1:初日の朝に、既に座り込んで段ボール箱2個分に相当する量の本の山を整理していた人を見かけたので、そのように察し、了解したといういきさつ

*2:ウクライナで生まれた友人の おばあ様 によれば、USSR [ソ連] の国民は当時、「母国が全て・他国は滅びるもの」だと思っていたらしい: ここで、日本に今日生きている自分たちが、これを おかしい と思うのも、Ricœur が言うところの distanciation によるものであるようにみえる: しかし、大事なのは「じゃあ、今の日本は?」と反省すること (reflexion)、これです

*3:second-order preference っぽい響き: https://en.wikipedia.org/wiki/Higher-order_volition